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0273 終の棲家 笹井明子 2009/10/19-17:32:13
穏やかな秋晴れだった昨日、久し振りに車椅子の母を連れ出して、近くの商店街や住宅街を散歩しました。ご近所の玄関先に咲くコスモスを眺め、行きつけの花屋さんで吾亦紅を買い、小さな秋を満喫した母の顔には、穏やかで幸せそうな笑顔がありました。

今月92歳の誕生日を迎える直前に、体調を崩した母は、一時危険な状態に陥りました。幸い看護師と主治医による適切な処置と、私を含む娘たちの文字通り寝ずの介護によって、奇跡的に危機状態を脱したものの、現在はベッドで過ごす時間が長くなり、食事やトイレを含め、自力ではほとんど何もできない状態になってしまいました。

「本人が望むなら、最後まで自宅で暮らさせてあげたい」と、この2年間4人の娘が交代で母の自宅に通いサポートしてきましたが、今は1人での介護はとても無理になり、その分一人一人の負担は倍増しています。

一方、これまで利用してきたデイサービスやヘルパーなどの公的介護は、主治医や看護師のアドバイスとは裏腹に、状態の困難度(現実の要介護度)が増すにつれ、逃げ腰の姿勢が目立つようになり、受けられる公的サービスは実質減っています。

おりしも、10月18日のTBS系番組『噂の!東京マガジン』が、3月に火災を出した老人施設「たまゆら」を例に、行き場の無い高齢者の問題を取り上げていましたが、在宅介護を含め、最後まで安心して過ごせる「終の棲家」の問題は、いまだ解決の方向性すら見えていません。

小春日和の日差しを受けて微笑む母を見て、母にとって穏やかな日々が一日でも長く続きますようにと祈りながらも、私たち娘はいつまで頑張り続けられるだろうか、という不安が胸をよぎります。