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0268 民主党の作戦勝ち 宮天狗 2009/09/14-08:24:58

鳩山由紀夫総理大臣の誕生を目前に、人々は自ら選んだ政権の行方を固唾を呑んで見守っています。中でも注目を集めたのは、自民党がなりふり構わず誹謗中傷を繰り返した民主党のマニフェスト「子供手当て」。今になってみるととてもうまい戦術だったと思います。

新政権との協力に合意した新党日本のマニフェストには、新生児から高齢者まですべての人に一定額を支給するベーシック・インカム(BI)が掲げられています。この制度は「人間のカオをした資本主義を実現させるための策」と言われ、アントニオ・ネグり氏はマルクス主義の理想を、ミルトン・フリードマン氏は新自由主義の目標を見て共に支持しました。まさに呉越同舟です。
また憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する画期的な政策ともいえます。

新党日本では支給額を一人5万円として年収200万円の4人家族と、年収450万円の3人家族の場合をそれぞれ220万円、90万円の増収になると試算しているが、総額72兆円に及ぶ財源をどうするかは明記されていません。

一方、京都府立大の小沢修司教授の試算(9月12日朝日新聞)によると、一人8万円を支給するとして総額約115兆円、これを全額所得税で賄うとすると均等割りで45%の所得税が必要になる。年収700万円の3人家族(専業主婦、子供一人)は約48万円の増収になるが、400万円の独身者は約43万円の減収となる計算です。

BIは北欧諸国やカナダではすでに取り組みが始まっているとも言われるけれど、所得の低い人や子育て、特に子沢山の家庭ほど恩恵が大きく、単身者は年金受給者を含めおおむね不利。後期高齢者医療費の年金天引きでさえ激しい反発を食らったのに、目の玉の飛び出るような高率課税は到底受け入れられないでしょう。

子供手当ても後期高齢者医療費無料化も、なんら所得制限を設けないことでBIの先取りといえますが、これを見越したうえで民主党は子供手当て実現の工程表をきちんと書きました。自民党のネガティブキャンペーンが空振りどころか自らの傷を深める結果になってしまったのは理の当然かもしれません。