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0264 マニフェストに「平和と人権」の理念はあるか、8月衆院選を間近に控え 笹井明子 2009/08/17-11:28:28
「明け初める あまつみ空は 爽やかに」・・・昭和20年10月、終戦直後に生まれた私に、母方の祖父はこの歌とともに「明子」という名前をつけてくれました。

戦争が熾烈になっていた昭和19年、生後11ヶ月の孫(私の兄)が病死し、それから程なくして学徒出陣していた長男(私の叔父)が戦死しました。戦争によって大切な家族を失った祖父が、ようやく訪れた平和をどんな思いで迎えたのか。私の名前と歌には、祖父の万感の思いが込められているように思えます。

あれから64年。広島では「日本も核武装をすべきだ」という講演をする元航空幕僚長が聴衆の喝采を浴び、長崎では時の総理大臣が核兵器先制使用容認を表明。終戦の日には靖国で参拝をする2名の元総理に参拝者から黄色い声がかかり、軍服姿の人物が参道で「ささげ銃」を披露する姿も見られたといいます。

平和を望む気持ちは誰もが同じとよく言われますが、「お国のため」とむざむざと捧げられた若い命があって、家族の絆を断ち切られ、暮らしを破壊された人たちがいて、悲しみと苦しみをもたらすばかりだった戦争がようやく終わった時に、市井の人たちが味わった喜び、希望を真に感得するならば、憲法の「戦争放棄」の理念を「非現実的」とあざ笑うような政治はできないはずです。

8月15日の東京新聞社説「終戦の日に考える」は、『現実は理念を裏切ります。(略)しかし、現実の困難をふまえての一歩に希望と未来がみえます。「追究しなければ平和には永遠に届かない。」平和も一人ひとりのねばり強い努力です。』の言葉で結ばれています。

衆議院議員選挙まであと2週間。誰もが平和に思いを馳せる8月に行われる総選挙です。「政権交代」の正否が問われる選挙といわれていますが、平和や人権を真剣に追求する理念が根底に流れているか、という視点で各政党のマニフェストをチェックしてみることも、主権者である私たちができる「努力」のひとつではないでしょうか。