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0249 冤罪の構図 宮天狗 2009/05/11-10:58:57
 1990年5月に足利市で父親がパチンコをやっている間に4歳の女の子が行方不明になり、翌日渡良瀬川の河川敷で死体となって発見された事件は、あわや迷宮入りかと思われた翌91年1月、DNA鑑定が決め手となって幼稚園パスの運転手菅家利和容疑者が逮捕されその夜全面自供、新聞もテレビも「科学的捜査の勝利」と大々的に報じたものです。

 ところが最高裁判決後も菅家さんの無実を信じて再審請求を続けてきた弁護団は今月8日、殺された女児の下着に付着していた精液を再鑑定した結果、菅家さんのDNAとは一致しないことを明らかにしました。もともと物証や目撃者の少ないこの事件の、中心ともいえる「科学的証拠」は覆されたのです。

 警察や検察の有力な武器となったDNA鑑定は、本人であることを証明すると同時に、そうでないことの証にもなる両刃の剣。菅家さんはそれによって地獄に落とされ、今ようやく救い上げられようとしています。

 この事実を前にしても当時の県警幹部は「とにかく驚いている。状況証拠の積み重ねや本人の自供から犯人は他にはいないと確信している。DNA型鑑定はその確信を補強してくれた」と語り、反省の色など微塵もありません。しかし殺害されたMちゃんを当日の午後2時に見かけたNさんの証言を、昼休みにやったとする容疑者の供述と矛盾するからと訂正させたのは警察と検察です。

94年4月に発足した「菅家さんを支える会・栃木」のHP(下記)には、軽い知的障害があって気が弱く迎合しやすい傾向はあるものの、誠実で子供の好きな菅家さんの温かい人柄や、なぜやりももしないことを自白してしまったのか、1審宇都宮地裁の公判で供述を二転三転した理由、、弁護団の再三にわたる再鑑定の申し入れを、裁判所がかたくなに拒んだ経緯などが詳しく書かれています。

ここから浮かび上がってくるのは、司法のもたれあいと官僚の傲慢そして人権意識の薄さ(現場検証した裁判官は一人もいません)。中でも重大な事実誤認を指摘したにもかかわらず、最高裁がこれらを一切無視して上告を却下したのは不可解で、下級審を擁護したとしか思えません。忌むべき冤罪が後を絶たないのはこのような事情も大きく影響しているのではないでしょうか。

http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/index.htm