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0230 戦中派の繰言 くぬぎ林 2008/12/22-18:02:45
私は職業柄、経済については大変無知である。従ってどうしてこう突然アメリカの金融界が破綻したのか全く判らなかったが、あるテレビ番組で「アメリカの金融界が自己資本の何十倍の取引きを許されていて、だから、その取引額の何十分の一の損失でも、その資本を大幅に超過するのだ」という解説を聞き、株の空売り空買いに似た、もっと危険なことをやたらやっていたのだと納得した。

昭和の初めの頃のニューヨークの株式暴落に始まる世界大不況はよく知られているが、(この原因は私は全く知らないが)、今度の不況もこれに匹敵しそうだし、日本政府の対応だけで解決する問題ではなさそうだから、ここで前の大不況の時のことを考えてみる。

昭和初期の大恐慌の結果起こったのが、左翼、特に共産党の興隆である。これはあの頃の政府の弾圧で、小学校教員5千人が検挙されたのでも判るとおり、日本のいわゆるインテリゲンチアはほとんど左傾していたと考えてよさそうである。

そしてこういった左翼が弾圧されると、今度は右翼が台頭し、それに加わった軍隊が猛威を振るい、2.26事件を起こし、実行犯は処刑されたが軍部(特に陸軍)の中枢部はこれを奇貨とし、日本の政局を支配した。

しかも陸軍のいわゆるエリート将校は、これ以前から中央の意向すら無視して、第一次大戦後の世界の動向に反して、植民地獲得に走り、日中戦争から太平洋戦争に至り、三百数十万の国民を戦死させて負けたのである。(戦災死は入れていない。)私は田母神氏に2.26の評価を伺いたいものだし、彼が日本、日本という日本は陸軍に占領されていた日本なのである。

もちろん今度の不況がこれと類似の展開を取るとは考えられないし、愛国心を売り物のアメリカの傭兵隊長、田母神氏にそんなことはできるはずはないが、アメリカの狂気はますますひどくなって、今度は集団的自衛権という訳のわからないもののために、アメリカの指揮の下に沢山の日本人が虐殺されることは十分ありうるだろう。

当面の経済危機、現実の生活の危機のため、当分憲法問題など、どこかに飛んでいってしまうだろう。しかし、この問題がどこかに行っている間に、戦争を知らない連中によって、戦争がいつの間にか「美化」されるのが、私にはとても恐い。

山本五十六の真珠湾計画が、彼が対米戦争にまったく反対だったこと、三国同盟にも反対だったことも無視して、メディアで取り上げられているのを見ると、この危惧は根拠無いとは言えまい。

しかし、アッツ島の玉砕を言う言葉はきれいだが、事実はあの小さな島に3千人の虐殺死体が放置されたということなのである。グアム島はもっとものすごかったはずである。戦争で虐殺された死体がいくらあっても、英霊なんて代物はどこにも居ないのである。