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0214 裁判員制度導入には反対 蔵龍隠士 2008/09/08-02:37:39
 仮に、現状のまま(すなわち自白事件の割合93%、有罪率99%、予断と偏見を与えがちなニュース・報道)を前提に、更に、その前段階=捜査過程で行われているとされる「人質司法」(冤罪事件の温床!?)、加えて裁判の迅速化を旨とする公判前整理手続き(裁判員が関われない)で、裁判の段取りが制限されてしまうとすると、確かに、制度推進派の言う通り、『裁判員は、量刑だけ判断をすれば良い』ことになるのかもしれないが、量刑判断といっても、死刑もあれば、無期懲役等もある。真実追及の志・正義感のある者もあろう筈…早く解放されたい者ばかりではないのではないか。
 善良な市民は、多分、参加した後、自分の判断乃至発言したこと、しなかったこと、あれこれ思い悩むものと容易に想像される。
 また、実際の裁判(進行)において、訴訟指揮・判断する(できる)のは裁判長らしいが、あの『異議あり』或いは『申し立て』について、場合によっては、裁判員が異議ありをしたい場合もあろう。これも制限したまま、ひたすら量刑判断だけという重責・負担を背負わされること、裁判後も一生口外もできないとしたら、これも耐え難い苦痛ではなかろうか。…人権をないがしろにしようとするもの。
 個人の生活を犠牲にさせられる等実害を含め、裁判員の負担が心身ともに過重であるとの指摘は正当であろうと思う。
 …それに、この制度導入を民主主義を進めるものとの宣伝もあったが、口外・議論して多数の者が経験を共有しないで、どうして議論や検討の仕方、民主主義が進むというのか、頗る疑問だ。
 現在の司法制度の問題点、例えば「人質司法」乃至捜査の可視化、捜査段階の資料の全面開示(不利な証拠を隠す・無視する?あるようだが)など、真実追及の目的のためには、なすべきことはまだまだあろう。どうするのだろう?
 真実追及も裁判の本来の目的ではあるが、被疑者・被告人の人権尊重も、憲法上同様・同程度に確保すべきものであろう。徒に、「裁判の迅速化」を求めて、制度設計すべきでもないし、運用すべきでもない。
 刑事事件の裁判の迅速化など、誰のためのものなのだろうか。国の負担軽減が、主目的なら、これまた頗る疑問。しかも、これに裁判員として、(量刑判断だけ?)市民をかませるなど、奇妙(遺憾)。
 『裁判に市民感覚を生かす』など言っているが、どこのところを言っているのか、わからない。
 最後に、裁判員制度は、憲法上の保障=職業裁判官による裁判を受ける権利を侵害するものとの憲法上の疑義のあること、付け加えておきます(ご存知のことでしょうけれども)。