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0206 文化とお金と橋下知事 2008/07/14-14:42:14
 大阪の橋下知事は、赤字財政を何とかしなくてはならないと、大鉈を振るった。私学助成を10〜30%削減目標とし、医療費公費負担助成を1000円から1割にする、高齢者の生きがい・地域生活支援事業や人権施策関連事業を見直すなど。

 確かに財政立て直しには、思い切った予算削減が必要だろうとは思う。しかしどこを削るかは慎重でなければならない。これらの削減は、低所得家庭や高齢者家庭などを直撃するだろう。

 その中で国際児童文学館については廃止を決めたという。http://www.iiclo.or.jp/
 asahi.comが、【「大阪の文学館が特に子どもたちにいい影響を与えているのであれば、他の都道府県にない効果が見えると思う。だが、全国学力調査では特に読解力がないということになっている」と答弁し、改めて同館の存続を否定した。】と伝えている。
 こんな短絡的な思考で文化・教育予算を削ろうとしているのかと驚いた。http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200807090069.html?ref=recc

 もし、橋下知事が本気で大阪府の子どもの読解力の不足を嘆くのであれば、文学館の予算を削ることではなく、子どもへの読書指導にもっと予算を回すよう、文学館関係者に要請すればいいだけのことではないだろうか。
 予算の2億円を削りたいなら、文学館の運営者達に、できるだけ無駄をそぎ落としながら経営できないか、相談の上で削減することだってできるだろう。

 この文学館は、児童文学研究者の鳥越信氏の集めた資料12万点から始まって、多くの出版社の寄贈を受けて、資料館としての役割を持つ。この資料を逸散させては、日本の児童文学の大きな損失となる。

 基本的に、教育と文化と福祉にはお金をかけるべきと思う。福祉は人間の生死や幸福、基本的人権に関わるから。教育と文化は人間を育てることに関わるからだ。

 教育に予算を投下することは、未来への必然的な投資であるし、未来への新たな創造は、無駄や余裕から生まれることが多い。今、大阪府のみならず国家予算も財政難を言い出しているが、教育や文化を市場原理に委ねてしまう危険性を強く感じている。