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0191 平和の果実 宮天狗 2008/04/07-08:38:51
 昔から怖いものといえば「地震、雷、火事、おやじ」。中でも地震はおやじのように権威失墜することもなく今もその代表と言える存在で、関東大震災や阪神淡路大震災を始め毎年のように各地に大きな災厄をもたらしています。ところが国民の生命財産を護るために軍備の必要を主張する人たちは、どういうわけか地震について黙して語りません。

日本は「海」という天然の要塞に囲まれているため、13世紀末の二度にわたる「蒙古襲来」のほかは外国の侵略を受けていない。かくて独自の文化は薫り高く花開き、国内も平和だった江戸時代にますます洗練されました。日本人の他者への気配りの行き届いた穏やかな気風はその成果だと思います。

そこにまったく異なった経路で発展したヨーロッパ文化を見事に接合させた明治維新の功績は言うまでもありませんが、もっとも悪しき側面である帝国主義に毒された結果、ついに太平洋戦争を引き起こしてアメリカの無差別爆撃や原爆投下を許すことになったのは痛恨の極みです。

その反省から生まれた二度と戦争はしないと誓った憲法が施行されてもうすぐ62年。おかげでどこの国も侵略せず侵略もされなかった。ありもしないことを心配して憲法を変えようなんていうより、いつどこで起きるか分からない大地震に備えるほうがよほど現実的であり建設的なのではないでしょうか。

ちなみに憲法制定当時日本の支配階級は、天皇制の維持のみにきゅうきゅうとして一般国民は視野になかった。だからこそそれを根本から改めた占領軍の素案と、森戸辰夫氏らが付け加えた25条は草の根から支持されたのであり私もその一人でした。科学は戦争によって進化したかもしれないけれど、文化は平和でなければ育たないのです。