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0187 市井の人間にチャンスはあるか 笹井明子 2008/03/04-12:35:06
『08年度予算案とガソリン税の暫定税率延長などを盛り込んだ税制改正関連法案が29日夜、衆院本会議で与党の賛成多数で可決された。予算の年度内成立は確実となり、与野党攻防の焦点は参院での税制関連法案の審議に移る。』(朝日新聞2/29)

永田町では、相も変わらず、国民不在の法案作りが横行し、多数決原理のもと、野党もなすべき有効な手立てを持ちません。私たち市井の者たちは、そんな国会の様子に苛立ち、あきらめ、やがて関心を向けなくなります。私たちのチャンスは「選挙」だけだ、とでも言うように。

政府自民党は、「支持率」低下が危ぶまれると、思い出したように「国民の生活」重視を語りますが、彼等の目指す目下のゴールは、自由競争原理と日米同盟による安全保障という、アメリカ追従型国家を作ることに集約されるようです。

しかし、それが本当に国民の「健康で文化的な(最低限度の)生活」を保障することに繋がるのでしょうか。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する」ことを目指しているといえるでしょうか。

昨年9月、私たちが開催した講演会で、品川正治さんは、戦争体験者として、経済人として、脱アメリカ依存型社会の可能性について、安全と経済の両面から明確な指針を示されました。

また、先月行われた「9条世界会議協賛企画公開シンポジウム」で、映画監督のジャン・ユンカーマンさんは、イラク戦争で顕在化したアメリカの明確な行き詰まりと、それを乗り越える手立てとしての日本国憲法の現実性を語りました。

さらに、国内で患者の心のケアを含めたターミナル・ケアに携わり、チェルノブイリやイラクの子供たちの医療に奔走してきた鎌田實さんは、近著「なげださない」(集英社)の中で、昨年訪れたイラク周辺難民キャンプの人たちの様子を語り、「悲しみの連鎖を断ち切れ」と訴えています。

来る5月4日から6日まで幕張メッセで「9条世界会議」が行われます。その呼びかけ人の中には、品川正治さん、ジャン・ユンカーマンさん、鎌田實さんを始め、多くの方が名前を連ねています。

今、政治は、世界の中の日本と言う広い視野も、そこには一人一人の命と生活があるという実感も持つことなく、力の論理に支配されているように見えます。しかし、その一方で、人々の「公正と信義に信頼して」夫々の場で先頭に立って、具体的な活動を通して、地を耕し、種を蒔いてきた人たちが、紛争や貧困という出口の見えない世界の現実に対して、日本の憲法を軸に、国境を越えて手を繋ぐことを決意しています。

私たちも今、こうした志を示す人たちと共に、地を耕し、種を蒔いていき続けたいと思っています。やがてその種は芽を出し、地に根を張り、他の人々の志と調和しながら、花を咲かせ、実をつけ、命を繋いでいく。私たち市井の人間のチャンスは日常的に在る。そう信じる中で、「護憲+」は「9条世界会議」の賛同団体となりました。