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0178 大晦 百山 2007/12/31-01:31:09
 今年も 今日一日で暮れる。個々人の悲喜はさてあれ、目を社会の諸々に向けてこの一年を振り返ったとき、人それぞれが抱く感慨は いかなものであろうか。
 この一年を表すに相応しい漢字一字は〈偽〉であると。なんたることかと天を仰ぐ心地がする。
 大筆を揮う僧侶の、書きたくない字 という嘆きにも似た感想に頷く。
 私事だが、思い返してもこの字を認めた記憶は我が金釘流にはない。読めても書かない字というものは結構あるものだ。
 横道に逸れた。あのこともこのことも〈時〉という妙薬が綺麗さっぱり洗い流し 消し去ってくれる。
 それを頼みとして、年の瀬最後のひととき 妄言を連ねることをお許し頂きたい。

 なんとかの大予言が現実のものとならないままに、21世紀も間もなく その十分の一が過ぎ去ろうとしている。
 目を アジア東端の日本という国に転ずれば、新しい世界を拓く標としての憲法下で はや60年余を過ごした。
 一口に60年と言うが、それは大変な時間だ。人間の社会的生き物として長さで言えば、優に一代を超える。
 過ぎ去って今に続く その期間を見つめ直したとき、それを生きた我々は〈恥〉という一字と共に歴史を綴り来たったのではないのかという疑念から解き放たれ得ぬ。

 妄言を重ねれば、意識せずとも あるいは曲学を以て弁じようとも、日本国憲法の成り立ちは〈革命〉以外の何ものでもない。
 新憲法は、権力の明確この上ない移動を規定したものだ。しかし、この移動は、内なる力とは無縁であった。労せず成し遂げた自然発生的な権力の移動であった。
 よって、私家版風には 私はこれを〈羽化革命〉と名付けている。
 覇権を競い合った時代は、人類の英知の赴くところ 終焉を迎える。過ぎ去った時代は、蛹となり羽化するまでの必然的期間であって、羽化し飛翔するのは 自然の宿命〈定め〉であると。

 日本は、世界に先んじて羽化したのだ。
 国蝶・オオムラサキのように美しく飛翔する筈だった。だが、現実はどうか。
 未だに飛び立たぬ。60年余という時間は、飛び立つためには十分過ぎるものではなかったのか。
 今頃は、世界各地に共鳴の〈羽化〉を呼び、更には〈飛翔革命〉となって花開き、人類の英知のもたらす恩恵を享受していたのではなかったのか。

 この地に生を受けた人々は、羽化したまま飛翔することなく化石化していく途を選ぼうとしているのか。
 MDシステムなどという噴飯ものを初めとしての装備などに、兆を超える予算を投じる。
 料亭などとは無縁の政治の実現を とは正反対の、料亭と言うところに行ってみたいなどと言う国会議員が、公認争いで目の色を変えている。
 
 改めるべきことが余りにも多い。そのための新しい年でありたいと 心から思う。