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0168 税金の使い方 笹井明子 2007/10/24-11:44:54
今月卒寿を迎えた母が、誕生日を目前にしたある日、家の中で転倒し右肘を骨折。服の着脱、寝起き、食事、歩行等、日常生活の全てに支障がでる事態になりました。これまで一人暮らしの母を交代で手助けしていた私たち姉妹も、24時間つき切りの介護態勢に疲労困憊。ついに先延ばししてきた介護支援申請を出すことにしました。

申請に先立って地域の支援センターに相談してみると、若い介護福祉士さんが、母の状態、私たちの状況、困っていること、必要としていることなどを詳しく聞いてくださって、介護手続きの流れから、自宅改修の可能性、適切な介護用品、介護支援事業所の情報、日常のちょっとした工夫などを、きめ細かく丁寧に教えてくれました。

老人の気持を尊重しつつ家族の負担を軽減したいという気持が溢れた対応に、重苦しかった気持ちも次第に和らぎ励まされ、なんとか頑張れそうだと勇気が湧いてきます。それと同時に、「福祉」とか「生活重視」の具体的な形に接して、「こんな風に、私たちが最後まで安心して生きていくためにこそ税金を使って欲しい」と今更ながらに実感しています。

そんな悪戦苦闘の日々の合間に、ふと永田町の動きに目を転じれば、自民党税制調査会による「税制改正」という名の「消費税の大幅引き上げ」の動きが見え隠れしています。「いずれ増税は必要」のムード作りは、以前からあった気がしますが、一体この増税にどんな大義があるのでしょうか。

突然辞任した安倍総理の置き土産の、空中分解した「有識者懇談会」や国会の空白などで無駄に使われた何億もの経費、少し遡れば豪華な議員宿舎問題ややらせタウンミーティングで使われた莫大な経費等々、政府や国会議員のための税金の無駄遣いは枚挙に暇がありません。さらに米軍との一体化を目的とした軍事費の大盤振る舞いもあります。

これらは、日々の暮らしを支えるためのささやかで細やかな、しかし心から有り難く思える援助とは余りにも対象的です。簡単に増税を言う前に、無駄遣いを徹底的に排除してもらいたい。無駄遣いをした人たちには責任をとってもらいたい。増税が責任政党の果たすべき仕事のような語られ方に強い怒りを感じます。

私たちがいつまでも黙っていれば、生活を圧迫する消費税は上がり、しかし福祉現場など弱者・高齢者に当てる予算は削減されていきます。「国民生活を守るために本当に必要な使われ方か」という視点で、私たち一人一人が税の行方をチェックし物申すことが、いま本当に大事だと痛感します。

さて、環境の変化に拒絶反応を示す母に、末永く自宅で過ごせる環境を整えるために、何をどう選んでいったら良いのか未だに頭を悩ませる日々ですが、必ず打開策があるという介護福祉士さんの助言と具体的な提案に希望を見出して、今日も何とか無事に一日が過ぎていこうとしています。