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0154 護憲コラム くぬぎ林 2007/07/23-22:21:51
 参議院議員選挙が目の前に迫っているコラムだから、世間の常識に従えばそのことについて書くのが普通だろう。
 確かに安倍内閣が相当に滅茶苦茶な内閣で、悪法を強引に通し,閣僚のボロもやたら出ているから、この現状に憤慨している人も多いし、ジャーナリズムも安倍内閣に対してあるていど批判的な態度を示しはじめている。   
 
 この状況の中では、自民の票が相当減る可能性は強いだろうし、私自身も現在、この政権は潰したほうがいいと思っている。

 しかし、政権の担当者を変えようとする時、本当の意味の強力な野党が存在しないことが、じつは一番困ったことである。つまり一番の問題は、革新勢力の野党が、それだけの力を持つ可能性はとても少ない上に、本当の意味でのまともな保守勢力も存在しないことである。

 小沢を親分にする民主党も相当に怪しげな改憲派で、国民の生活重視などということをスローガンにするが、国民の生活の中で一番大切な生存権にかかわる憲法九条についてわざと沈黙を護って、この点をごまかしたまま選挙を戦おうとしている。
 したがって、現憲法成立のころに成人に達して、それを歓迎したまともな保守主義者のつもりの私は、その野党の中ではっきり護憲を主張している党か人間に投票する他ないと思っている。しかし結果的には、はっきりした護憲派が、自民に変わりうる多数をしめるとは到底考えられない。

 それゆえここではっきりさせておきたいことは、現状では自民や民主に投票するであろう相当多数の人も、まず戦争は嫌いだろうし、憲法九条の戦争拒否に反対はないだろうということであり、国民投票の時には、どの政党を支持していようと、ひとりの人間として、自分の信念に従って、いわゆる支持政党なんかに関係なく投票すべきだということである。このことだけはどの政党に投票する人にも強調しておきたい。
 この点では、今度この会の主催で行う品川正治氏の講演はとてもいいものだと思う。

 以下の点はまたゆっくり論じたいが、今少し触れておきたいのは、安倍内閣や、それ以前の自民党や世間の風潮を見る時、すこしは教育にも関係のあった人間として一番気になることは、教育に関するさまざまな議論や法律が、教育の基本的な目的は自分できちんと物を考えられる人間を創ることであるということが、ほとんど完全に無視されていることである。
 
 多分そういうことが実現したら、今のインチキな諸政党にとっては決して好ましいことではないから、教育の目的として問題にされないのだと考えられる。
 一人一人がきちんと物を考えられるようになったら、今の政党みたいに怪しげで、簡単な標語をわめくことで選挙に勝つことはできなくなるからである。

 どの政党にとっても、国民は愚民の方がいいのである。