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0137 平和憲法の威力 宮天狗 2007/04/09-07:28:59
私が生まれた翌年、外交官の夫とともに来日したイングランド出身のキャサリン・サンソムさんは、当時の日本人を暖かく見つめてこんな風に書いています。『東京に暮らすー1928〜36』(岩波文庫)

「日本の二大長所は、落ち着きがあって穏やかで自然を愛する国民であること。日常生活が洗練された文化環境の中で営まれていること。・・・イギリスの子供は気性が激しく わがままで、厳しい躾けが必要なのに、日本の子供はおっとりしていておとなしく、甘やかされても駄目にならないのは不思議」

決してほめすぎとはいえず、70年後の2000年における10万人あたりの殺人件数はOECD加盟国中日本が最も少なく、アメリカのわずか12分の一、イギリス、韓国の3分の一に過ぎません。満州国建国などで日英関係は険悪になっていったにもかかわらず、サンソム夫人は実によく日本人を観察していたのです。その信頼を裏切るかのように、日本は翌37年中国と戦端を開き、重慶無差別爆撃と南京大虐殺によって「日本人はずるくて残酷」の印象を世界に広めてしまったのはまことに残念です。

それでも敗戦後は平和に徹して開発途上国への援助などを継続した結果、先ごろイギリスBBC放送が実施した世界各国3万人にのぼる調査では、カナダと並んで日本が好感度トップになるなど、もうすぐ還暦を迎えるわが平和憲法はすばらしい威力を発揮しています。国民性にふさわしい特別誂えの豪華な衣装といってよいでしょう。

あろうことか安倍首相は、手垢にまみれた月並みな衣装にあこがれて、これを脱ぎ捨てようとしているばかりか、過去の所業を否定するあいまいな言動を繰り返し、近隣諸国のみならずアメリカでさえ批判の声が高まっています。

おりしも東京都民は石原慎太郎氏を三度知事に選びました。
なんともやるせない気分ながら、めげずに平和のともし火を消さないよう努力したいと思っています。