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0127 貧困の文化 流水 2007/01/29-22:03:30
【貧困の文化】という考え方があります。
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「貧困の文化(Culture of poverty)は、人類学者オスカー・ルイスがその著書「貧困の文化―メキシコの“五つの家族”」(1959)の中で用いた表現で、60年代以降のアメリカで提示され、貧困者が貧困生活を次の世代に受け継ぐような生活習慣や世界観を伝承している、という考え。このサイクルを打破することが社会問題としての貧困を解決するために不可欠だとされている。」(ウエブベキア)
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実は、この考えかたは、部落解放運動や同和教育では乗り越えなければならない課題として大変重要な視点でした。
未開放部落は、300年間差別され続けてきたと簡単に言われますが、その実態は地味の悪く、水はけが悪い土地などに集団で住み、通婚も自分たちの中でだけ行われてきました。
そうなると、血の濃いもの同士の結婚になり、様々な問題がありました。また、普通の農民たちの交流がないために仲間内だけの文化を作ってきました。

部落解放運動を進めていくとき、この仲間内だけの文化をどう変えるか、というのが大問題になったのです。これを克服するために、同和教育という発想が生まれたといっても良いのです。

現在の格差問題とか貧困の固定化というのは、現代の新たな同和問題になる可能性があるのです。
食うのがやっとという家庭環境が固定化すると、その中で培われた感性(文化)が、一般家庭で培われた感性と異なってきます。この感性の違いが、貧困家庭で育った子供たちの差別感・疎外感を増幅するのです。
これは具体的に数値には表れないけれど、貧困が持つ本質的な問題です。
何百万という人間をこのような形に追いやるとどれだけの社会的コストがかかるか、日本社会は同和問題で学んでいるはずです。
その意味で、格差問題の重要さはどれだけ強調されてもされすぎはないと思います。