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0106 人間中心社会の復権 流水 2006/09/02-15:31:01
毎日の新聞・TVで垂れ流されるニュースを見て、暗澹たる気持ちにならない人はいない。
やれ、子殺しだ、やれ親殺しだ、やれ詐欺だ、やれ自殺だ、やれ官僚の不正だ、やれ企業の不正だ。こういう社会状況を見て、日本の景気回復は力強いなどとのたまう人間の気持ちが分からない。

問題は、【競争力】という神話をどのように考えるかにある。日本が国際的に競争力をつけなかったら、日本は生きていけないなどと脅されて、そのためにはみんな【痛みに耐えろ】と大嘘をつかれ、結局【痛み】に耐えたのは国民だけという惨憺たる結果になった。

一体全体、本当の【競争力】とはなんだろうか。
一つのヒントになる資料がある。世界経済フォーラムの【世界経済力報告】である。
この【報告書】は、企業の技術競争力だけではなく、国としての長期の経済戦略、公共部門の腐敗の程度などを総合的に評価している。
http://iro-iro.jugem.jp/?eid=30

では、日本はどうか。
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世界経済フォーラムが28日発表した「2005年世界競争力報告」で、日本は昨年の9位から12位に後退した。02年の13位以来の低位置にとどまった。景気回復持続への期待が広がり、株式市場も活況だが、財政赤字と公的債務の拡大がもたらす国際社会の懸念を色濃く反映する結果になった。

国の競争力を示す「成長競争力指数」は、「マクロ経済環境」「技術力」「公的制度の効率性」の3つの柱で構成する。このうち「マクロ経済環境」は昨年の29位から42位に低下した。なかでも「政府債務」は117カ国・地域のうち114位、「財政赤字(黒字)」は113位で、報告は「世界最悪の諸国に含まれ、財政的節度が欠如している」と指摘した。ただ今回の調査は衆院選以前に実施したため、低い評価は「(参院で法案が否決された)郵政改革との関連性が高い」とも指摘している。
日経ネット 2005年9月28日(23:31)
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日本の評価は、ぼろくそである。では、競争力の高い国はどこか。
フィンランドなど北欧三国である。
これらの国は、どこもバブルを経験しているが、どこの国も見事に立ち直っている。これらの国に共通する理念は、【企業中心でなく、社会と社会を構成する人間を中心】に考えている。
フィンランドは世界で一番学力が高いことで有名だが、彼らが教育改革の過程で最も努力したのは【いじめ】の克服である。【いじめ】を起こさない人間のあり方を考え、そのような人間を育て、そのような社会システムを構築することに全力を挙げたのである。
このようなシステム改革が実り、現在フィンランドの学力は世界一になっている。

つまり、北欧三国の人たちは、自分たちの【社会】とそれを支える人間を中心として物事を考えている。
この発想から見れば、自殺者年3万人を越える社会など、社会とよべるものではない。
わたしも何度も書き込んだことがあるが、【教育は、国家や企業のためにあるのではなく、自分たちが構成している社会とその構成員である人間のためにある】という原点をきちんと押さえた教育を行っているから、学力世界一を保てるのであろう。

老人党掲示板にたむろしている右翼のように、人を【差別】し、【人間を人間と思わない思考】と正反対の【人間を大切にし】【人間同士の共生】を大切にする理念が、このような国と教育を生み出したのである。
日本はもう一度、自分たちの「社会」とそれを支える人間を大切にする国を作り直すべきであろう。