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0103 「戦後生まれの苦い夏」 桃李 2006/08/15-01:13:32
そのときから たぶん 心のどこかの時間が止まったのだ

カラカラの土の上に放り出され、土の上にゆれる しけった あつい空気で息がつまるような 8月 なくしたものと向き合う月 

失った人たちへの ことばを 伝えるすべがなく
 言葉も想いも のどもとの壁にぶつかって。

どのくらい たくさんの  伝えたかったことが
 重く 沈んでいっただろうか 重く 沈んでいくのだろうか

私は昭和43年生まれで 空腹に泣いたこともなく 屋根のある家に住み 今では外国から輸入された食べ物を選んで買い
好きな本を 煌々とした灯りの下で読んでいる

そういうことを真剣に ここ10年くらい考えただけ
そんなことで 戦争がわかるのか? わかりたくても・・・

戦争でだれが何を得て 誰がどんなものを 得なかったか

だれが 何をうしなったか

私が心底分かったことなど ほんのまだ 少しで 
それは 大事な人たちを うしなうことの痛み

それから いつもは忘れているけれど
 悪いことをしていなくても 
自分の幸せを 少し うしろめたく思うときがある

だから 8月は 戦後生まれの私にとっては 苦い夏 

だけど戦争をもっと知らなければと いつも思っている