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0074 常識でもわかること  くぬぎ林 2006/01/30-01:44:33
 去年は敗戦後60年のこともあって、新聞でも割合戦争の悲惨な話が採り上げられた。もちろん、それらの記事で戦争を讃美したものはない。
 しかし気をつけなければならないのは、現在六十歳以下の人は全く戦争の経験が無いから、僕たち七十歳以上の者が、子供の時に日露戦争の話を聞いた以上の昔話で、玉砕も全滅もそれだけの人間が殺され、死体になっているのだという実感のない、勇ましいだけのお話になりかねないということである。
 事実、監督は反戦映画のつもりだという戦艦「大和」沈没の話も、子供たちは軍艦に魅力を感じてしまっているらしい。
 大体、人間というのは厭な動物で、必要なだけしか他の動物を殺さない他の肉食動物と違って、人類同士で不必要に殺し合いをやる業の深い動物である。
 自分のことを考えても、戦争中は戦争大嫌いで、ミッドウェイの海戦の時、海軍の平出報道部長が興奮して、「肉を切らせて骨を切る」なんていうのを、「ああ負けたのだな」と思った癖に、今この海戦の話を読むと、日本軍がもっと情報を持っていたらなどと考えてしまってはっとする。(そんなことが出来ても戦争が長引くだけである) こういう人間、とくに男の性質をよく考えて説明しなくてはいけないだろう。
 戦争というものは、戦争ごとに武器が強力になり、その様相が全く変わるものである。 青銅から鉄器への昔から、第一次大戦の地上戦主流から第二次大戦の飛行機主流と、新しい武器が必ず使われるものである。
 それゆえ、今度戦争が起きたら、六十年前の戦争と全く違った、人間が一人でいっぺんに十万人の人間を殺せて、殺した側はそれを全く感じない、核爆弾がじゃんじゃん降ってくる戦争になる可能性が高い。
 しかも、今度起こる大戦争は、多分西へ、西へと侵略しようとするアメリカと、中国との戦争になる。 このとき、日本が軍隊をもち、アメリカ軍の前衛基地があったら、メタメタにやられるのはわれわれだということをよく考えると、軍備の無いほうがいいということがよくわかる。