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0060 天皇制 宮天狗 2005/10/24-15:07:34
南北に分かれたり神様になったりと紆余曲折を繰り返しながらも千数百年にわたって連綿と続いた天皇制は、日本人にとって郷愁の源と見え80%以上の人が支持しています。ところが皇太子をはじめ皇族の生まれてくる子供がすべて女子とあって、男系の男子のみに皇位継承を認めた皇室典範の見直しが迫られ、昨年も押し詰まってから有識者会議(緒方貞子氏ら10人)が発足して皇位継承を巡る論議が行われていましたが、21日の朝日新聞は「安定性が高く分かりやすいことから男女を問わず長子優先とする答申をまとめた」と報じました。
子供との同居を望まない人が年々増えているばかりでなく、同居する場合は息子より娘が良いという親が多くなった現状や、性差別を認めない憲法14条の精神に照らしても至極まともなこの結論に対して、渡部昇一氏ら一部の学者は「皇室典範を考える会」を結成し、伝統を守ってあくまでも男系にこだわる姿勢を示しています。
しかし伝統はもともと破られるために存在するといっても良く、アメリカの評論家ドナルド・リチーが「日本人には新しいものへの癒しがたい欲望がある」と指摘するように、万物が流転する「諸行無常」の肯定は民族的無意識ともいうべきこの国の特性でもあります。
将棋の関根金次郎13世名人は1937年世襲制だった名人を実力制に改めることによって、木村義雄14世名人という大スターを生み出し、将棋界を活性化することに成功しています。本来民主主義とは水と油のような天皇制も新しい衣をまとうことによって新たな道を歩むことになるでしょう。でなければすべてを天皇の名のもとに行った戦争のために、華やかなるべき青春時代を抑圧と欠乏と死の恐怖のうちに過ごした私たちの世代は浮かばれないと思います。