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0025 地球号に乗って 百山 2005/02/07-00:02:37
 まさしく緑の星。そして、高みから俯瞰する水平線や地平線の描く弧の暗示を超えた実像としての球体がそこにある。
緑がかった薄青色に輝く宝石、掛け値なしに美しいと思う。
 もうすっかりお馴染みとなった、宇宙船の地球周回軌道上からの光景。太陽系の外からの旅人が、この光景を目の当たりにした時、彼らはどのような言葉でそれを基地に伝えるのだろう。
その生命体が、人類と同じ感性を持つものだったら、きっとそれは興奮で上擦りながらの「ついに他の宇宙系の楽園に到達した」というものではなかろうか。
 宇宙船は徐々に高度を下げ、着陸地点を探す。煙が見える。やはり生命体が存在する。船内は騒然とし出す。基地との交信は急速に頻度を増していく。
見知らぬ星からの旅人を迎え入れる地球人達は、その時、「楽園」の住人に相応しい世界を構築しているのだろうか。
 かつて、この星も欲望の導くままの相剋の時代を送った。
しかし、声なき民達の純なる願いは、一握りの権力者達の専横を退け、いわれなき作為による有形無形の境界を取り除くことに成功した。今、この星は、我々の先祖が誕生した頃と同じような清らかな自然環境をも取り戻した。

私たちが送るこの一日一日は、このように胸を張って遠つ星からの旅人達に語りかけるであろう子孫達の 遙かな日々へと連なっている。