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0008 旗  手 百山 2004/10/11-00:21:11
 時の流れのなんと早いことか。しみじみそう思う。日本中の多くを寝不足にさせたアテネオリンピック。その開幕を告げた日から、早くもふた月。さらに遡れば、今日・体育の日は東京オリンピック記念の日、あれはもう40年も昔のことになってしまった。
 開幕、それは開会式。この日を待ち望み世界中から集まった観衆や選りすぐりのアスリート達。入場行進の先頭に立つ旗手が捧げ持つ旗は様々だが、みなそれぞれの誇りと希望の印し。
 だが、過ぎ去った20世紀は、紛れもなく戦争の世紀だった。
飽くなき野望、それとの対峙。そのためにうち振られた旗は、どれだけ人々の心を鼓舞し、その結果、その意思に反するどれだけの「生きる」を奪い去り、遺された者達にどれだけの悲しみ・苦しみを与え続けて来たことだろう。そして、もう二度と繰り返すまいと誓った筈の愚行は、不死鳥の如く闇夜に息づき、今なお美しげな衣を纏って、あの地かの地に舞い降りる。
 非武装や中立を国是とする幾つかの国々。しかし、それは全くの少数派だ。この地上に生を受けた者すべてが、ただ一つの旗・平和の旗を掲げ持つ旗手になるのはいつの日だろうか。