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  明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術(第十三期)
笹井明子    −    2015/08/01 02:33:52
感動したり面白かった映画・本・音楽などを紹介しあい、その感動・興味を共有しましょう。
0001 明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術(第十三期)  笹井明子 08/01 02:33
 
感動したり面白かった映画・本・音楽などを紹介しあい、その感動・興味を共有しましょう。
 
0002 「日本人は人を殺しに行くのか・戦場からの集団的自衛権入門」(伊勢崎賢治著) 笹井明子 10/18 10:00
 
この本は、国際NGOの職員として、あるいは国連PKO上級幹部として、30年以上にわたって、世界の紛争現場で、紛争処理や武装解除の活動を行ってきた伊勢崎賢治さんが、その経験を通して、安倍政権の「集団的自衛権」のまやかしを明らかにし、その上で、本当の意味での「積極的平和主義」の提言を著したものです。

概要:

1.「集団的自衛権」と「集団安全保障」は違う:
「集団的自衛権」は同盟国が各々の国益のために行うものであるのに対し、「集団安全保障」は自国とは利害関係のない国の問題であっても、窮地に陥った人々を皆で助けようという“世界益”のために行われる国連的措置。

日本政府は、自分達がやろうとしている「日米同盟」に基づいた武力行使を、“清らかなイメージ”の「集団安全保障」とあえて混同させて、国民の抵抗感を取り除こうとしている。

2.「湾岸戦争のトラウマ」から「集団的自衛権行使容認」へ:
政府・外務省が「集団的自衛権行使容認」に突き進んだ背景には、「湾岸戦争のトラウマ」(多額の資金援助をしたのに感謝されなかった。アメリカから「ツーレイト、ツーリトル」と言われた)があるとされている。

しかし、当時「評価」されずに「批判」されたのは、外務省のアピール不足やタイミングの悪さ、アメリカが発するメッセージの読み違いなど、外務省のミス、勘違い=外交力の脆弱さに、その原因があった。

3.「集団的自衛権の15事例」の検証・評価:
15の事例は全て現実性がないか、「個別的自衛権」で対処すべきもので、「集団的自衛権」は必要ない。一方、自衛隊が出て行く範囲を限定する話は一切含まれていない。

4.「集団的自衛権」=「抑止力」論:
「今後一層アメリカに協力しないと有事の際に守ってもらえず、日本は北朝鮮、中国等の脅威に対応できない」というイメージが先行して、「集団的自衛権」必要論を牽引している。

4−1.北朝鮮の脅威:
本当に北朝鮮が日本を滅ぼそうと思ったら、核ミサイルを使わなくても、原発の派遣作業員にスパイを紛れ込ませて総電源を喪失させればすむ。自国を守るために最も大切なのは「敵を作らないこと」。「敵を作らないための素質」を高め、他国の敵愾心を煽る行動を慎むこと。

4−2.中国の侵略、尖閣諸島、北方領土、竹島などの領土問題:
中国がチョッカイを出しているのは、人が住んでいない境界地帯。国際的に「侵略行為」と捉えられかねない本土侵攻は中国にとってメリットは無く、起こりえない。

領土問題は「ソフトボーダー」、すなわち領土の「占有」から、互いに分かち合い実益を共有する「管理」(共同統治)へのシフトが現実的で望ましい平和裏に解決できる道。これは尖閣諸島に関して従来中国が求めていたことでもある。

ソフトボーダー実現は簡単ではないが、国際紛争を武力で解決しないと「憲法」で宣言している日本で、リーダーが覚悟を持ってその方向に梶をきれば、できないことではない。

=>日本が自国を護る楯(イージス)は、日米同盟を強化するために配備された、イージス艦ではなく、憲法9条そのものである。

5.COIN(Counter-Insurgency=対テロ戦マニュアル):
イラク戦争、アフガン戦争は、彼の地に曲がりなりにも存在していた民族の統合=国家(ネーション)の破壊と、民衆の犠牲、無法状態の発生を齎し、結果、「非対称な怒りの増幅」が“テロリスト”を生み、今の「テロとの終わりのない戦い」を生じさせている。

この混沌の解決方法としてアメリカで生み出されたのが、COINという軍事戦略。COINが訴えるのは、「ウィニング・ザ・ウォー」ではなく「ウィニング・ザ・ピープル」人身掌握戦に勝つこと。そのやり方は、民衆達の「領土」をしっかり護る国軍と、法による公平を布く警察を作ること。その国軍と警察を中心に「秩序」を形成し、国民に安心を与え、福祉政策を実施し、国民が自ら安心してネーションに帰依できる政府を作ること。対「テロ」戦の闘い方は、これしかない。

6.日本独自の国際貢献=ジャパンCOINの可能性:
アメリカを侵略者、敵と見做すイスラム世界の間には、日本は「アメリカから原爆を落とされた国」であり、「憲法9条」を持つ国だから、自分達の立場を理解できるという“美しい誤解”が、今なお存在する。

それは、日本政府が現在目指している姿とは間逆ではあるが、歴史の事実と憲法条文を真っ直ぐに受け止めれば、正しい理解ともいえる。そこに、日本が国際紛争解決に向かって担う役割のチャンスが存在する。

アメリカが試行錯誤し続けるCOIN戦略の中で、日本が行うべきことは、「武力を使わない、集団的自衛権の行使」。武力を前提にしない自衛隊の「補完力」と、相手の懐に入り込んでいくことのできる「親和性」を前面に押し出したジャパンCOINを、日本の政策ドクトリンとして生み出し、「国連軍事監視団」という国連的措置の任務に手をあげること。

これこそが、アメリカの国益にかないつつ、日本が世界に貢献できる最上の方法であり、日本自身にとって主体性獲得の第一歩となる。

+++
「9条護持」の願いに対し、日本は自国さえ平和であれば良いのか、という一国平和主義への疑義がしばしば語られますが、伊勢崎さんはこの著書の中で、日本だけができる日本独自の“世界に対する貢献”、真の“積極的平和主義”を提言しています。

そこに提示されているのは、「他国の民の血を差し出すかわりに、自国の安全をアメリカから買う」という「姑息」で「非道」な“人道支援”や、更にそれを助長する集団的自衛権の行使容認など、今の日本政府の目指すところとは全く違った、「憲法9条」に則った国家政策の姿です。

「憲法9条」は死文化された、日本はアメリカ追随しか選択できない“美しくない”国に成り下がった、と諦める前に、憲法に則った誇り高い安全・外交政策を遂行するよう、政府に働きかける必要性・可能性が、まだまだありそうだ。この本を読んで、そんな(前向きの)感想を持ちました。
 
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